島イロ図鑑 ハンダマ写真

島イロ図鑑 #007

奄美の自然の中で見つけた色を、書き手の想いにのせて綴るストーリー。

「ハンダマ」

#460e44 紫紺色

和色名:紫紺【しこん】
Color Code: #460e44
RGB: R70 G14 B68
CMYK: C80% M100% Y57% K31%

奄美の強烈な夏の日差しを受けて緑の房をつけた島バナナは、十分に大きくなったところで収穫されます。切り口からしたたる粘着性の高い汁を触らないよう、収穫は二人がかり。注意深く作業を行います。

料理の最初に出てくるサラダ。白い皿に緑のリーフ類と赤いトマト、そこに紫色のハンダマが加わると、一気に華やかになります。ハンダマは、奄美や沖縄だけで食べられている野菜と思いきや、金沢では金時草、熊本では水前寺菜と名を変えて全国的に親しまれている野菜です。

葉の表面は緑色をしていますが、裏側が濃い紫色をしているのが特徴です。見た目も良く、かつ栄養も豊かです。紫色のポリフェノールは抗酸化作用。緑黄色野菜特有のベータカロテンも含まれる優秀な野菜なのです。

瀬戸内町の方が東京青山のファーマーズ・マーケット(農産品の直接販売)でハンダマを販売していた時、仕入れに来ていた飲食店のシェフたちに大人気でした。内地の水前寺菜は、旬が3カ月間くらいですが、奄美ではほぼ通年収穫ができます。おひたしにも、生でも、天ぷら、そして煮汁も使うことができるので、年中手に入るビジュアル的にも良い奄美のハンダマは人気のようでした。

保管のコツは冷蔵庫の中で立てておくこと。我が家では、塗れた新聞紙で包んでビニール袋に入れ、野菜室に立てて常備しています。

島にいるときは、できるだけ島の野菜や魚を食べる。これが我が家のポリシーです。採れたての野菜や魚は新鮮なだけでなく、その土地のエネルギーを感じて、食べる側も元気をもらえる気がします。ハンダマだけでなく、できるだけ地元の農家の方が作った野菜を食べましょう。

さて、今回私が選んだ色は「紫紺」(しこん)。少し紺が入った濃い紫色。「紫紺の優勝旗」というフレーズをよく耳にしますが、これは春の全国選抜高等学校野球大会の優勝旗のことです。白い文字や金色の刺繍が映える色ですね。旗だけでなく高貴な色としても用いられることの多い色です。ちなみに夏の選抜は深紅なので「深紅の優勝旗」になります。

色の名前の由来は、紫草の根で染めていたことから「紫根」(しこん)と呼ばれていたそうです。落ち着いた色なので壁紙とかにもよいですね。

このエッセイは平成31年3月発行のマチイロマガジン51号より転載しました。