かしゃ餅

掲載:machi-iro magazine #54

71861161 570247160385736 6167047311584133120 N
島イロ図鑑 10 #938b4b

和色名:根岸色【ねぎしいろ】

Color Code: #938b4b
RGB: R147 G139 B075
CMYK: C51% M44% Y81% K0%

 小さい頃の島でのおやつといえば、かしゃ餅かドーナツ。ドーナツと言っても真ん中に穴の開いたあのドーナツではなく、いわゆる沖縄のサーターアンダーギー。祖父母の家や親戚の家でよく作っていました。時々は沖縄に行ってきた方からのおみやげとして米国のお菓子もあったような記憶があります。

 かしゃ餅は、かしわ餅が変化してその名前になったという説もありますが、真偽のほどは定かでありません。私は、小さい頃から大好物でよく食べていました。かしゃ餅は、もち米粉と茹でたヨモギ、そしてザラメを入れたものをこね、かしゃ(クマタケラン)、もしくはさねん(ゲットウ)の葉に包んで蒸したものです。できたては、特にあのかしゃのむせるような香りが強く、そこだけはちょっと苦手でした。

 嗅覚というものは年齢を重ねると変わってくるものです。今では、あのかしゃの香りとヨモギの香りが交互に鼻腔をさまよう感覚が大好きです。ゆえに、屋仁川の名店「一村」でうなぎのさねん蒸しを初めて食べた時には、思わず「天才!」と叫んでしまいました。

 かしゃは、蒸す前は濃い緑色をしていますが、蒸すとカーキ色に少し緑を加えたような薄い色に変わります。なんとも優しい色あいです。

 さて、今回私が選んだ色は「根岸色(ねぎしいろ)」。あの東京都台東区の根岸です。最近は谷中、根岸、千駄木のエリアを総称して谷根千と呼び、その下町的雰囲気が人気です。

 江戸時代、根岸では上質な壁土が取れ、その土を塗った壁のことを根岸壁と言っていたそうです。そしてその緑がかった渋い薄茶色のことを根岸色と呼び人気の色になったということです。

 かしゃ餅は、保存料などは入っていないので早めに食べないと固くなったり、傷んだりします。食べきれないなと思ったら、保存袋にいれて冷凍しましょう。電子レンジでチンするだけで、あのねっとりとした餅の食感と香りが再生します。