テッポウユリ

掲載:machi-iro magazine #52

machi-iro magazine エッセイ 島イロ図鑑 テッポウユリ
胡粉色

和色名:胡粉色【ごふんいろ】

Color Code:#fffffc
RGB:R255 G255 B252
CMYK:C0% M1% Y2% K0%

 四月になると島のあちこちで見かける白い花、テッポウユリ。もともとは島の外から入って来た植物ですが、今は畑だけでなく道端や崖などに自生しています。私が仕事をしている奄美市ICTプラザかさりの駐車場にもたくさん生育していて、季節になると高貴な香りを辺りに漂わせてくれます。今回使った写真の立派なテッポウユリも駐車場に咲いていたものです。

 都会ではお花屋さんでしかお目にかかることのできない白く可憐な花、テッポウユリ。沖永良部島で栽培された「エラブユリ」というブランドは全国的に人気です。

 島では道端に咲いているというのがスゴイですね。島の百合としては、請島に自生している鹿児島県指定の天然記念物ウケユリも有名です。請島を訪れた際、自生している場所に案内していただきましたが、まだつぼみの状態でした。咲くととても良い香りがするのだそうです。

 百合は、英語ではリリー。奄美にも縁がある山田洋次監督の『男はつらいよ』では、寅さんの憧れの女性の役名がリリーさんでした。可憐なという形容詞がピタリとハマる花の一つです。リリーさんが暮らしていて寅さんが転がり込んだという設定でロケ地にもなったお家が、今は加計呂麻島の諸鈍で「リリーの宿」という一棟貸しの宿になっています。

 さて、今回私が選んだ色は「胡粉色(ごふんいろ)」。ごくわずかに黄みがかった白色です。真っ白というのは少し冷たい感じがしますが、この胡粉色は純白に少し柔らかさを出した白色です。胡粉は日本画で使う画材で、貝の殻を焼いたものを砕いて作る顔料です。古代中国の「胡(こ)」から伝わった色で、もともとは鉛で出していた色が、後に貝の殻に素材が変わったという歴史を持っています。

 茶道で使われる白い炭「枝炭」は、炭にこの胡粉を塗ったものです。細い枝が二股や三股になった白い炭は、とても美しい材料です。胡粉は、日本画材の絵の具としてはもちろん、自然素材ということで最近ではネイルの材料としても活用されています。

スモモ

勝眞一郎エッセイ スモモ
深緋色

和色名:深緋色【こきひいろ】

Color Code:#C9171E
RGB:R201 G023 B030
CMYK:C26% M100% Y99% K0%

 梅雨が明け、奄美に本格的な夏が到来しようかという六月の初めになると、果物屋の店先に並びはじめる真っ赤なスモモ。奄美のスモモは、花螺李(ガラリ)という台湾原産の種類です。

 果肉部は甘く、皮が酸っぱい味。小さい頃から食べている私は、熟して甘くなったよりも実がパキッとして酸っぱいうちが大好きです。脳は特徴的な味を記憶として覚えていて、スモモと聞くだけであの酸っぱい味を思い出し、唾液が出てしまいます。もちろん、追熟させて甘くなったものもおいしいですね。

 完熟させてそのまま食べるか、ジュースやジャム、スモモ酒に加工して食すのも好まれます。我が家ではスモモのジャムが定番です。

 スモモは、漢字で「李」と書き、有名なことわざに「李下に冠を正さず」ということばがあります。これは、スモモの木の下で冠をかぶりなおそうとして手を上げると、その上になっている実を盗むのかと疑われるから、そういうところで紛らわしいことをしてはいけないよという意味です。みんなが大好きなスモモならではの教訓。疑われるような紛らわしい行動には要注意ですね。

 さて、今回私が選んだ色は「深緋色(こきひいろ)」。深緋とは、赤に少し紫の入った暗めの色で「緋」すなわち赤の落ち着いた色です。赤い実が熟して黒くなっていくときの色として古くからあった色です。奈良時代、「袍(ほう)」すなわち着物の色で階位を表わし、深緋色は上から四つ目の第四位の色として高貴な色の代表でした。

 買ったばかりの時は緋色のスモモは、しばらく置いて追熟させると、さらに高貴な濃い深緋色に。汁を飛ばして洋服につかないようにして、今年も奄美の旬を味わいましょう。