掲載:machi-iro magazine #48

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和色名:常盤色【ときわいろ】

Color Code: #007B43
RGB: R000 G123 B067
CMYK: C86% M41% Y94% K3%

 鉄が蘇ると書いて蘇鉄(ソテツ)。ソテツは、勢いが弱ってきたときに根元に錆びた釘を埋めたり、直接幹に挿したりすると勢いを取り戻すと言われています。また、奄美大島の特産品である大島紬の染色で重要な役割を果たす泥田においては、染めの過程で鉄分が失われた際にソテツの葉を沈めておくと良いという話もあります。いずれも科学的に証明はされていません。

 良く見ると変わった形をしていますが、恐竜が闊歩していたジュラ紀から生き残っている原始的な植物なのだそうです。濃い緑色の固い葉は生命力の強さを感じます。雌花のモコモコの中にある赤い実も熱帯を感じるアイテムですね。

 実は玉入れの玉になったり、中をくりぬいて鈴にしたり、その昔はあく抜きをして食糧難の時代に貴重な食糧ソテツ粥にもなりました。ソテツと島は切っても切り離せない関係にあります。

 ソテツの中でも、私が好きなのは新芽の時期の葉っぱのクルクルです。初期は棒状になっていたモノから、徐々に内にくるまれていた葉が解放され、クルクルがあらわれます。一日ごとにクルクルは解放され、ピンと張った葉になります。

 葉の付き方の規則正しさ、クルクルの円の美しさ。自然の造形に思わず近くでジッと見入ってしまいます。

 さて、今回私が選んだ色は「常盤色(ときわいろ)」。常盤とは、永久に変わらないという意味でジュラ紀から生きながらえるソテツにぴったりの色の名前です。松や杉といった常緑針葉樹の葉の色とされ、茶を少し含んだ濃い緑色です。ソテツの緑は、エネルギーあふれる太陽の光を受け、日を追うごとに力強くなっていきます。