奄美の郷土料理について、泉和子さんにお話を伺いました。

シマ料理は家庭料理ですから、
実際に作ってほしいですね。
手作りすると美味しいし、
健康にもいいんです。

泉和子さん インタビュー

奄美の郷土料理について、泉和子さんにお話を伺いました。

 

シマ料理の歴史

—— 日本国内でも、奄美ほど外部からの行政統治が繰り返された地域はないといわれていますが、やはり料理にもその影響があるのでしょうか?

そうですね。繰り返される統治のなかで、薩摩と琉球両方の食文化が島に入り、島の人々はそれぞれを上手に取り入れてきました。調理法だけでなく、正月料理の三献(さんごん)のような儀式なんかも。だから沖縄、鹿児島に似ているようで少し違う味わいがあって、重層的といえますね。シマ料理は、北と南の文化が混ざった独特な料理なんです。

魚汁 写真

—— シマ料理として人気の高い鶏飯とは?

昔は炊き込みご飯で、使われていたのも鶏でなくヒュース(ヒヨドリ)などの山鳥だったといわれています。薩摩藩統治時代に伝わった鶏の食文化の代表的な料理が「鶏飯」で、鶏の汁かけご飯は全国に分布がみられるようですね。琉球王国統治時代に東南アジアから沖縄を経て伝わった豚の食文化の代表的な料理が「ブタミシ(豚飯)」で、鶏飯の元になった料理ではないかと考えています。

 

アレンジ能力が高い昔の島人

昔の人の知恵は本当にすごくて、同じ食材で違った料理を作り出していたんです。例えばひきゃげ・もち天ぷら・かしゃ餅は全部同じ食材。シマ料理を調べていくうちに、同じ食材を使った料理が多いことに気付いて、それがすごく面白くて。

黒糖と餅粉を炊くと「じょうひ餅」。それをカン缶箱にいれて蒸すと「黒糖のカン」になるように、調理法で名前が変わるんです。だから古い名前は残していかないといけないなぁと思っています。料理の変化を伝えるためにもね。

 

「心」を伝えるシマ料理

—— 最後に読者へ向けてメッセージをいただけますか?

健康は生活習慣と食歴が大切。旬のもの、地のものを使って楽しんで作っていたら、自然と元気になりますよ。「長寿食ってどんな食べ物ですか?」なんて聞かれますけど、奄美独特の味噌や発酵食品なんかと、畑で作った野菜を食べる島の人々の生活スタイルが長寿につながっていると思います。

自分で育てたものの味は格別!畑がなくても、なにか育てるといいですよ。ハンダマはおすすめですね。葉っぱだけ使って、残った茎を土に挿しておけば育ちますよ。

それからね、料理には作る人の気が入ります。だから機嫌が悪くてもイライラして食材を切ったりせず、心を落ち着けて丁寧に作るんです。例えば自分の子供の誕生日なら、お母さんが喜んでごちそうを作ったりしますでしょ。行事食も同じで、料理はやっぱり気持ちを伝えるものなんです。特別な日でなくても、手作りの料理をみんなで食べると、それだけでおいしいですものね。

 

これはボックスのタイトルです。

Profile

郷土料理研究家

泉 和子 さん

泉和子さん写真東京に4年暮らし、奄美大島に帰郷、実家の旅館を手伝う。山下欣ー氏が主宰した奄美民俗談話会に入会し、奄美に伝承されている「ハナシ」に関心を持つ。共著に『龍郷町誌民俗編』、『大和村の昔話』など。年中行事の調査や『ホライゾン』の執筆などをしているうちに、自然に「シマ料理」と関わるようになる。行事食や日常の主食、副食、マドムン(間食)など、記録に残されているものや母親、友人、知人、集落の方々から教わり伝えられたものを再現し、研究に繋げている。自然食フードコンサルタント。

 

文:泥ぬマコ / 写真・人物:惠大造 料理:泉和子

このインタビュー記事は、2015年発行のマチイロマガジン40号より転載しました。

 

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