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奄美の海でクジラに会おう!

画像奄美探訪ロゴ
島では昔から「待てば大魚(フーイュ)」と言うが、僕が出会いを待っているのは魚ではなく、僕らと同じほ乳類。ここ数年、奄美近海への回遊数増加が報告されている「ザトウクジラ」だ。本当に奄美の海にクジラがいるの?地元の宝に鈍感なシマッチュは、正直この目で見るまではピンと来ないもの。
いざ探訪ー

 

待てば…

朝8時。普段はダイビングや釣り船として使われている定員10名程の船に乗り込んで、クジラ探しに出発!久しぶりの海は、なんて気持ちいいんだろう。船長からレクチャーを受けながら、期待を膨らませる。

時折船を止め、海中に集音マイクを入れてクジラの鳴き声を探す。小湊漁港を出た船は、南へ南へと島影に沿って海を走る。「乗っている皆さんの目の数だけクジラを見つけるチャンスが増えます」と声をかけられて、いっぱし海上を睨め回す。




市崎近くで鳴き声をキャッチ!テレビで耳にしたことがある、あの「クゥークゥー」というイルカによく似た可愛い声だ。比較的小型種のクジラをイルカと呼んでいるだけで、両者に生物学上の違いはないという。船長くらいになると、鳴き声を聞くだけで、距離や頭数からクジラの境遇まで分かるらしい。

船長曰く「独身のもてない君」との距離はまだあるらしく、鳴いている間はしばらく姿も見せないとのことで、またしばらく南下が続く。

好天でベタ凪。又とない条件は揃っているが、中々クジラ君はその姿を現さない。先に出た船は大島海峡まで向かうと連絡が入るも、乗船メンバーの都合もあり、篠穂の滝辺りで僕たちの船は引き返すことになった…

 

地球史上最大

巨大な生物クジラ。中でもシロナガスクジラは最長34m・最大190t 。現在、地球上最大の動物であるだけでなく、恐竜を含めこれまで確認された限り最も大きい種と言われている。

クジラの仲間は、マッコウクジラやシャチを代表格とする「ハクジラ」とプランクトンや小魚を濾して食べる「ヒゲクジラ」の仲間に大別される。奄美で主に観察されるザトウクジラは、シロナガスクジラと同じヒゲクジラの仲間ということになる。

クジラは陸から海に帰った動物だ。大型爬虫類が激減した寒冷な時代の海で、恒温動物の特性を活かして進化していった。

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地球の表面積は、海と陸地で7:3 。人間の子供の身体も七割を水分が占める。情報と交通が発達し続ける21世紀。地球は小さくなったと言われるが、最後のフロンティアは海だろう。

ザトウクジラにしても、そのサイズ故水族館での飼育が可能な訳もなく、交尾や出産の瞬間すら観察されていない。カバに近い仲間とも言われるクジラの底知れないミステリアスな魅力は、人智の及ばない生命の秘密につながっている。

 

シマッチュ

実は、今回の乗船メンバーには、大手旅行会社の商品造成担当者も含まれている。何事も積み重ねだが、奄美のホエールウォッチング(以下、WW)が旅行商品としてモノになるか。といった視察の場でもある。

案内してくれたのは奄美クジラ・イルカ協会(以下、協会)の興克樹さん。奄美海洋生物研究会の主宰として精力的に活動され、サンゴの産卵シーンの映像はつとに有名な他、昨年11月には日本ウミガメ会議を奄美で成功させている方だ。

WWへの取り組みは06年から。ダイビングショップを中心に、主に大島南部で鯨類出現情報の共有・集積を始め、12年に開催したシンポジウム「奄美のイルカ・クジラ2012 〜歴史と今から創造する未来〜」が大きな転機となり、13年には協会を設立、全島一斉調査やモニターツアー等の活動が本格化するに至った。

今シーズンの日本クジライルカウォッチング協議会の機関紙は、興さんが大和村沖で撮影したザトウクジラの写真が華々しく表紙を飾っている。全国的に見ても、奄美は最もホットなWWスポットへと成長しつつある。

協会の記録を見ても、年々奄美へのクジラ回遊が増えているのは明らかだ。その背景には、捕鯨禁止がある。現在、一部の国や地域を除き全世界規模で捕鯨は禁止されており、鯨の頭数全体が増加していることは容易に推測できる。

実は、奄美でも大正時代から昭和30年代まで捕鯨が盛んに行われており、解体基地であった瀬戸内町・久根津集落入口の大橋にはクジラのレリーフが名残をとどめる。

興さんによれば、奄美近海のクジラは全頭「シマッチュ」なんだとか。夏場は栄養豊かな北の海で食いだめし、冬場は繁殖のために奄美・沖縄の海に帰ってくる。「恋のバカンス」地での天敵が不在となり、1回の出産で基本一頭しか産まないクジラの頭数は、緩やかな右肩上がりで回復していくだろう。奄美近海のクジラは、現状の倍に増える可能性があると興さんは読んでいる。

 

 

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